みなさん、こんにちは。社会保険労務士の樋口です。
現下の新型コロナ禍における失業者は、とうとう10万人に迫る勢いです。そんななか、雇用保険被保険者であった失業者に、再就職活動中の生活を支えるべく受給できるのが「基本手当」です。
よく「失業保険」とか「失業手当」とか言いますが、法律上の正式名称は、「雇用保険」であり「基本手当」です。
以下、雇用保険の一般被保険者に支給される「基本手当」について述べていきます。高年齢被保険者、短期雇用特例被保険者並びに日雇労働被保険者については、別の給付金が支給されますので、ご注意下さい。
1.受給要件
雇用保険の一般被保険者が離職して、次の(1)及び(2)のいずれにもあてはまる場合に「基本手当」が支給されます。
(1)就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるに
もかかわらず、本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことが
できない「失業の状態」にあること
従って、次のような状態にある者には「基本手当」は支給されません。
- 病気やけがのため、すぐには就職できないとき(就職できる能力がない)
- 妊娠・出産・育児のため、すぐには就職できないとき
- 定年などで退職して、しばらく休養しようと思っているとき
- 結婚などにより家事に専念し、すぐに就職することができないとき(以上、就職しようとする意思がない)
(2)離職日以前2年間に「被保険者期間」が通算して12か月以上あること。
ここでいう「被保険者期間」とは、雇用保険の被保険者であった期間のう
ち、離職日から1か月ごとに区切った期間に、賃金が支払われた日数が1
1日以上あるか、又は賃金が支払われた時間数が80時間以上ある月を1
か月として計算します。「被保険者であった期間」ではありません。
ちなみに、月給制の場合、賃金が支払われた日数は歴日数となります(欠
勤日は除く)。
また、「特定受給資格者」又は「特定理由離職者」については、離職日以
前1年間に「被保険者期間」が通算して6か月以上あればよい、という特
例があります。
「特定受給資格者」とは、特に倒産・解雇等により再就職の準備をする時
間的余裕なく離職を余儀なくされた者、「特定理由離職者」とは、期間の
定めのある労働契約が更新されなかったことにより離職(いわゆる「雇止
め」)した者をいいます。
2.受給期間
雇用保険の受給期間は、原則として、離職日の翌日から1年間です。
但し、その間に病気、けが、妊娠、出産、育児等の理由により、引き続き30日以上働くことができなくなったときは、その働くことのできなくなった日数だけ、受給期間を延長することができます。その場合でも、延長できる期間は最長3年間となります。
なお、受給期間中ずっと基本手当が支給されるわけではありません。離職日の年齢、被保険者であった期間により定められる所定給付日数分だけ、基本手当が支給されます。また、受給期間を経過すると、所定給付日数がまだ残っていたとしても受給できなくなります。
具体的な所定給付日数については、下記リンク先をご覧ください。
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_benefitdays.html
3.支給額
雇用保険で受給できる1日当たりの金額を「基本手当日額」といいます。
原則として、離職日の直近6か月に毎月きまって支払われた賃金(つまり、賞与等は除きます。)の合計を180で割って算出した金額を「賃金日額」といいます。「基本手当日額」は「賃金日額」の50~80%(60歳~64歳については45~80%)となっています。「賃金日額」の70~80%となるのは、よほど賃金が低い場合であり、通常は「賃金日額」の50~60%になることが多いようです。
「基本手当日額」は年齢区分ごとにその上限額が定められており、現在は次のとおりとなっています(毎年8月に更新されます。)
- 30歳未満 6,845円
- 30歳以上45歳未満 7,605円
- 45歳以上60歳未満 8,370円
- 60歳以上65歳未満 7,186円
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