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今更ながら、同一労働同一賃金!

 みなさん、こんにちは。社会保険労務士の樋口です。

 

 今回は「雇用形態に関わらない公正な待遇の確保」についてお伝えします。

 

 いわゆる「同一労働同一賃金」と言われますが、言葉が独り歩きしてしまっていて、正しく伝わっていないような気がします。これは、 同一事業所内における正社員・非正規社員の間の不合理な待遇差の解消を目的としたもので、何が何でも、正社員と非正規社員の賃金を同じにしなければならないというわけではありません。 以下、解説します。

 

不合理な待遇差の禁止

 同一事業所内において、正社員と非正規社員の間で、基本給や賞与などあらゆる待遇について、不合理な待遇差を設けることが禁止されます。これを考える判断基準として「均等待遇」「均衡待遇」の規定があります。 

 

均等待遇

 下記2項目が正社員と非正規社員との間で全く同じ場合は、すべての待遇(賃金、教育訓練、福利厚生など)についての差別的取扱いが禁止されます。

 

 ・職務内容(業務の内容+責任の程度)

 ・職務内容・配置の変更範囲

 

 表向き、パートタイム労働者とか有期雇用労働者であっても、「責任の程度」や「配置変更の可能性」「職務内容変更の可能性」も含め、正社員と全く変わらないのであれば、待遇にも差を付けてはなりません。

 「責任の程度」とは、例えばトラブルが発生した場合、誰が対処するか、クライアントにお詫びするのは誰か、という視点で考えてみて下さい。

 「配置変更の可能性」とは、出張、転勤、出向などの有無で考えてみて下さい。

 「職務内容変更の可能性」とは、例えば、これまで現場で働いていた従業員が本部へ異動となり、経理部や人事部などの職務に就くような場合があるか、という視点で考えてみて下さい。

 

 とかく「同一労働同一賃金」といわれますが、単に業務内容が同じというわけではなく、「責任の程度」や「配置変更の可能性」「職務内容変更の可能性」まで含めて考える必要があります。日本の雇用慣行では、「責任の程度」や「配置変更の可能性」「職務内容変更の可能性」まで含めて全く同じということはまずないと思います。だから、両者の待遇差があるのは仕方ないとしても、不合理な待遇差であってはならないというのが「均衡待遇」の趣旨となります。 

 

均衡待遇

 下記3項目を考慮して、不合理となる待遇差は禁止となります。

 

・職務内容(業務の内容+責任の程度)

・職務内容・配置の変更範囲

・その他の事情 

 

 例えば、職務内容等にもよりますが、正社員が時給換算で2000円、パート労働者が時給1400円なら必ずしも不合理とはいえませんが、パート労働者が最低賃金ぎりぎりの911円(茨城県)だとしたら、不合理な待遇差といえるでしょう。

 

 なお、「その他の事情」のひとつとして、令和2年10月の最高裁判決(大阪医科薬科大学事件)では、「正社員人材確保論」を挙げています。 

 

従業員に対する、待遇に関する説明義務の強化

雇入れ時

 事業主は、非正規社員(パートタイム労働者、有期雇用労働者)を雇い入れたら速やかに、雇用管理上の措置の内容(賃金、教育訓練、福利厚生施設の利用、正社員転換の措置等)に関する説明をしなければなりません。

 

説明の求めがあった場合

 事業主は、非正規社員から求めがあった場合、正社員との待遇差の内容・理由などについて説明しなければなりません。

 

不利益取扱いの禁止

 事業主は、説明を求めた非正規社員に対して、解雇その他不利益な取扱いをしてはなりません。

 

 今回実現しようとしているのはあくまでも、「雇用形態に関わらない公正な待遇の確保」ということです。パートタイム労働者であるとか有期雇用労働者であることのみを理由として、正社員と待遇格差を設けてはならないということです。

 社会保険労務士としては、就業規則や賃金規定等に「非正規社員」のみ適用する規定がある場合、「公正な待遇」となっているかを点検し、不備があれば修正案を提示することが可能です。

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